現在も猛威を振るっているコロナウィルス、そして、それによって引き起こされたパンデミックにより、フィリピン国内でも多くの人々が仕事を失いました。

フィリピンには、オフショア開発事業の拠点として設立されたIT系企業が多く、人件費のコスト削減や、業務委託・移管先のエリアとして注目されています。このような、オフショア開発会社で、インターネットを利用したウェブの作成や開発を行ったり、コールセンターやIT系の業務に携わっている人たちは、今回のパンデミックの被害はそれほど受けることなく、仕事が続けられています。

IT系の仕事以外では、観光業に携わっている人たちが多く、特に外国人を相手にしていた観光業や、観光客をターゲットにしていたレストランなどは、このパンデミックで外国人観光客がフィリピンに入国できなくなってから大変な思いをしています。

仕事を失ったフィリピン人が非常に多いというニュースはウェブ上でも流れていますが、仕事を失ったから飢え死にしたなどのニュースは聞かれません。
今回は、仕事を失ったフィリピン人たちが、今、どのようなことをして生計を立てているのか、少しだけご紹介しましょう。

SNS(ソーシャルネットワットワーキングサービス)を利用し物を売る

パンデミックが始まり、ロックダウンの延長が続いている中、仕事の再開に目途が立たないと悟ったフィリピン人たちは、すぐに行動を起こしました。それは、自分でビジネスを行い、お金を稼ぐということです。

フィリピン人は、フェイスブックやインスタグラムなどのSNSを利用することが大好きです。これに目を付けたフィリピン人たちは、一斉にウェブ上での商売を始めました。
フェイスブックやインスタグラムに品物の画像と料金をポストし、SNSを自分の商品を販売する商売道具にしたのです。

SNS上で行われていた代表的なものは、以下の3つです。

  • 古着の販売
    自分が持っている服をSNSにポストし、販売をしていました。
  • 化粧品の販売
    化粧品を製造する工場側と交渉し、自分で仕入れ、自分で作ったロゴを化粧品に貼り売っていた強者もいました。
  • 食べ物の販売
    弁当、ピザが非常に多かったです。コールセンターなどに自分で営業に行き、弁当を買ってもらえるよう交渉したりしていました。また、フィリピンで流行っているミルクティーも多く売られていました。自分のミルクティーブランドを作り、それを、SNS上にポストして販売をしていたのです。

上記以外にもたくさんのものがウェブ上で売られていました。
フェイスブック好きなフィリピン人は、フェイスブック上の友達が何千といるのです。まったく会ったこともないような人も、フェイスブック上ですぐに友達申請を行うので、友達は非常に多くなります。これが幸いして、SNS上にポストした自分のビジネスが、多くの人に知れ渡ることにとても役に立っていたようでした。

パンデミック前では、それほど多く見かけなかったSNSを利用した商売ですが、あっという間に全国のフィリピン人が行うような状況になったのです。

デリバリーサービスのドライバーの仕事

マニラやセブでは、パンデミック当初は外出制限の規制が厳しく、家の外に出ることさえ難しかった時期がありました。食料品の買い出しなどのために、スーパーに行くと入り口には長蛇の列ができており、スーパーに入るだけで2時間くらいかかるようなところもありました。

こんな状況をみて、バイクでのデリバリーサービスが登場しました。注文した食材や必要なものをデリバリーサービスが買ってきてくれるのです。パンデミック以前はそれほど目立たなかったデリバリーサービスのバイクも、パンデミックが始まり、時間が経つにつれ、どんどん数を増やしていきました。バイクを所有しており、仕事がなかったフィリピン人たちの多くが、このデリバリーサービスの仕事に就いたのです。

スーパーの品物をドライバーが自分の代わりに買ってきてくれるこのサービスは、少し割高にはなりますが、特にマニラではコンドミニアムから出ることも一苦労の時期があったため、これは非常に便利だということで流行し、ドライバーの雇用にも一役買ったようです。

おわりに

今回はパンデミック中に仕事を失ったフィリピン人たちが、どのようなことをしながら生計を立てているのかについて、紹介をしました。
フィリピン人は、常にのんびりしているイメージがありますが、いざというときは非常に頭を働かせ、決断し、行動することが分かりました。仕事を失っても絶望することなく、たくましく生きているフィリピン人からは、多くの見習うべきものがあるかもしれません。

(Endo)