コストの罠は生産性

フィリピンへのITアウトソースを検討する場合、最も重要なポイントはコストでしょう。日本よりフィリピンの方が、品質が高いであるとか、納期が早いからという理由でフィリピンへのアウトソースを検討するという話はほとんど聞いたことはありません。

そしてフィリピンへのITアウトソースにおける落とし穴もコストにあります。日本人よりも単価の安いフィリピン人エンジニアですが、トータルコストは単価×工数なので、工数が単価のやすさ以上に多くなってしまうとトータルコストが大きくなってしまいます。アウトプットが同じなら工数は生産性と言い換えられます。

フィリピンでのITアウトソーシングが成功しているかどうかの一つの指標は、
[フィリピン人生産性]/[日本人生産性]

[フィリピン人単価]/[日本人単価]
を上回っているかどうかといえるでしょう。

厳密には海外ITアウトソースの場合、国内よりも管理費等のオーバヘッドが多くなりやすいので、そのオーバヘッドの差分以上に生産性を上げる必要がありますが。

今回は、私の今までのフィリピンでのプロジェクトの経験から、どのようにしてフィリピン人エンジニアの生産性を高めることが出来るのか、考えてみたいと思います。

フィリピン人エンジニアの生産性は悪いのか

フィリピンで暮らしていて、たまに日本に戻ってびっくりすることの一つにコンビニやレストランのレジで長時間待たなくてもいいことです。日本にいた頃はコンビニでの支払い時間を数秒速くするためだけに現金でなく電子マネーを使っていましたが、長いと30分レジで待たされるフィリピンではその違いなんて誤差の範囲です。

またフィリピンにきた外国人がよく文句を言う例として、数百メートルの道路工事に半年以上かかってその間ずっと渋滞になっていたり、家を一つ建てるのに2年以上かかったりすることもあります。

ではフィリピン人エンジニアの生産性は日本人と比べて著しく悪いかというと、そうとも限りません。日本人エンジニアの生産性を100として、フィリピン人エンジニアを放っておくと限りなく0に近くなります。就業時間中に動画やFacebookを見たりでネット回線を圧迫して0どころかマイナスになったりもします。

しかし管理を工夫することで80~90、場合によっては100以上の生産性を発揮させることは可能だと考えています。その具体的方法について、以下の3つのポイントがあると考えています。

次回より、それぞれ検討してゆきたいと思います。

nagata