フィリピン・セブ島の復旧と復興
フィリピンの中部に位置するセブ島に、スーパー大型台風(フィリピン名「オデット」:台風22号)が上陸してから、もうすぐ2ヶ月が経とうとしています。
今回は「フィリピン・セブ島の災害復旧と復興」について考えてみました。
このテーマに入る前に、「復旧」と「復興」について理解する必要があって、私も何が違うのか分からずにいました。一見違いのなさそうなこの言葉にも、実は違う部分があるようです。
まず「復旧」について。
「復旧」とは、「壊れたり傷ついたりしたものを、元の状態に戻すこと」。
災害を受けた被災地での、電気・ガス・水道などのライフライン、道路や電車などの交通網などに対してよく使われます。つまり、生活に欠かせないものや、ないと本当に困るものを、修理して今まで通り使えるようにすることを「復旧」と言うそうです。
次に「復興」とは、「衰えたものが、再び盛んになること」。
「興」は「盛んになる・栄える」という意味なので、元気を取り戻すこと・活気のある状態に戻すことが「復興」ということになります。そのため、「復旧」のように修理してどうにかなるものに対して使うことは稀で、街や文芸など抽象的なものに対して使うそうです。
「復旧」も「復興」も、元の状態に戻すようなイメージで使われることが多いですが、使える状態にするのが「復旧」、活気ある状態にするのが「復興」であることが大きく違うところです。
それでは話を戻して、フィリピンの復興についてです。
私が住むセブの町も、当初予想していたよりも早く復旧してきています。
もちろんまだインフラが整わない地区もありますが、元通りの生活に戻ったところも多く見られます。
しかし、セブ島の復興の現状は非常に厳しく、コロナ禍真っ只中、観光を生業としている南国のリゾート地なので、観光客が激減し、事業の採算が取れない状況が2020年3月のロックダウン発令から約1年9ヶ月続いており、その上、この台風によって更に被害を受けてしまいました。
特に、宿泊業やマリンレジャー業の関係者は、コロナ発生後収入を絶たれ、これまで細々となんとか耐え凌んで「もう少しで観光再開だ!」と光が見えた矢先に、この台風の被害に見舞われたため、施設や事業用の資材が軒並み破壊され、事業を閉鎖に追い込まれた業者も数多くみられます。
レストランや商店・ショッピングモールなどは、台風で破壊された部分を改修してオープンし始めました。客足も少しずつ戻ってきているようで、中には新規開店する店舗も見られます。
タクシーやバスなどの交通機関も通常通り運転し始め、移動に事欠くことはなくなりましたが、まだまだ以前の観光客で賑わっていた南国リゾート、セブの姿とはほど遠い様子です。
行政の対応も、台風に対しての改善策などが発表されることはいまのところまだ無いようです。この辺りが発展途上国ではなかなか難しいのでしょう。日本では建物の設計や施行規則などの強化や避難方法の改善など、次の台風対策が始まるところではあるのですが、今のところは復旧を完了するまでにとどまっているのが実情です。
フィリピンの今後の見通し
そんな中、待ちに待った観光業再開です!
フィリピン政府からの公式発表で、2022年2月10日からフィリピンの入国が再開されました。2020年3月に新型コロナウイルスの感染拡大を受けて入国を禁じてから、約2年ぶりになります。
国際社会情勢にもよりますが、この後フィリピンに関わる大事が起きない限りは、徐々にセブを訪れる観光客が増え、ロックダウン前の観光地セブに緩やかに戻っていくだろうと言われています。
(KOIZUMI)