セブ島に住んでわかったメリットとデメリット
フィリピンにおいてアウトソース産業は、経済成長に大きく貢献する重要産業として国民にも認知されています。フィリピンではBPOと呼ばれ、外資系企業の方が国内企業より給与が高いことから、BPOで働きたがる新卒の社会人も多い印象です。BPOの中でも特にコールセンター事業は海外から進出してくる企業数が多く、2014年にはインドを抜き世界一になりました。
現在のフィリピンはコールセンター事業だけではなく、Web制作や画像加工、CAD、ソフトウェア開発などを含むITオフショア開発事業やアニメ制作などフィリピンをアウトソース先とする業種も様々です。実際にセブに住んでみると、外資系企業をよく目にするので、フィリピンにおけるアウトソース産業の労働人口がいかに多いかを実感します。海外企業の進出は、貧富の差が激しかったフィリピンの中間層拡大に大きく貢献しました。フィリピン政府は、BPOを重要産業と位置付け、経済特区を作るなど国外の企業を積極的に受け入れています。
セブITアウトソーシングセンターでフィリピン人スタッフと一緒に働いていると、インターネットの情報にはない、フィリピンへのアウトソースのメリットとデメリットが見えてきます。今回の記事では、セブ島で実際に働いて分かったフィリピンのアウトソースのメリットとデメリットを紹介します。
メリット:人件費が安い
海外をアウトソース先として選ぶ一番のメリットは、人件費が安いことです。業務の一部を人件費の安い国に委託することで、大幅なコストカットが可能になります。フィリピンの人件費が安いことはかなり有名になってきましたが、実際にセブ島に住んでみると物価や人件費の安さを肌で感じられます。セブ市内で働くフィリピン人労働者の平均月収は12,000ペソ前後と言われています。日本円にすると25,000円ほどです。一日あたりの最低賃金は366ペソとなっているので、週休一日で働いても9,150ペソです。これだけでもかなり安いですが、フィリピンはまだまだ発展途上の国なので、最低賃金に満たない給料で働いている労働者も多くいます。
フィリピン人の収入を見てみると、フィリピンがアウトソーシング先として人気の理由がわかります。海外の企業が現地の人を安く買い叩いていると言う人も中にはいますが、多くの外資系企業が平均以上の給与を支払っており、有給休暇など福利厚生がしっかりしているので、外資系企業はフィリピン人の就職先としてとても人気があります。
メリット:英語力が高い
フィリピンがアウトソーシング先として人気がある理由は、人件費が安いことだけではありません。もう一つの理由はフィリピン人の英語力の高さです。フィリピンはアジアの英語力ランキングでは常に一位をキープしており、あまり知られていないですが英語話者数ランキングでは世界三位です。マニラやセブなど外資系企業や観光客の多い都市で英語が通じないことはほぼありません。
デメリット:インフラが脆弱
フィリピンは未だ発展途上国ということもあり、インターネットの急な断線や停電などが良くあります。フィリピンに拠点を構える企業は複数のインターネット回線を使用したり、停電対策用の発電機が設置されたテナントにオフィスを設置することで対策を行っています。
デメリット:日本人とは違う国民性
フィリピン人は、日本人とは文化も常識も全く違います。時間にルーズな人が多かったり、日本人ほど仕事の優先度が高くなかったりと違いを挙げていくときりが無いです。フィリピンへのアウトソースは、そんなフィリピン人と日本に合わせたクオリティの仕事をしなくてはいけません。フィリピンへのアウトソースを成功させるには、フィリピン人とのコミュニケーションや文化を熟知した日本人スタッフが必須です。
(Iwabuchi)