例年、夏の終わりと同時に台風の被害に悩まされる日本。今年は台風15号による被害が大きく、 特に千葉県の大規模停電では多くの人が不安な日々を過ごしたかと思います。

日本で自然災害といえば、地震やそれによる津波、台風、局地的な集中豪雨、大雪、火山噴火などさまざまな災害が起こり得ますが、フィリピンでの自然災害とは主に台風によるものです。特に頻繁に台風が上陸するルソン島(首都マニラがある島)では、大雨で土砂崩れや洪水が起こりやすく、台風の時期は山や川沿いの地域では常に警戒が必要となります。

実はフィリピンで台風の話をすると必ず“ヨランダ”という言葉がでてきます。これは2013年11月に発生した観測史上最大のパワーを持った台風の名前です。

■台風ヨランダの情報■
名前 国際名ハイエン、フィリピン名ヨランダ、番号30号
比国上陸日 2013年11月8日
被害数 死者6300人以上、負傷者約3万人、行方不明者1000人以上
住宅114万戸倒壊
主な国内被害地区 レイテ島タクロバン、オルモック、サマール島

台風発生から6年が経とうとしている現在でも、フィリピンのローカルニュースを見ているとヨランダの被害者たちの状況を伝えるニュースが流れることがあります。ヨランダはセブを含むフィリピンの多くの島に被害をもたらしましたが、特に被害が大きかったのは、セブの東隣にあるレイテ島です。台風による高潮で、道路には倒木や家屋の残骸が散らばっていたり、一部の町や農園は全てが波に流され、更地のようになってしまったそう。被害が大きくなってしまった原因として、台風が観測史上最大の勢力を持っていたことはもちろんですが、台風が通過したレイテ島のタクロバンが海抜5m以下と低地だったこと、政府の警報が現地の言葉(ワライ語)ではなく英語やタガログ語で行われたこと、暴風や高潮により通信インフラに障害が起こり、テレビや携帯電話が使用できず情報伝達が上手くいかなかったこと、地元政府が台風の脅威を理解せず、住民の避難誘導を怠ったことなどがあげられています。

台風の名前は、日本やフィリピンを含む14ヵ国が加盟している台風委員会によって用意された140個の名前を順番に使用しています。そのため、通常は数年後には同じ名前の台風が存在することになります。しかし、2013年のヨランダの被害があまりにも大きかったため、台風の命名リストからヨランダの国際名であるハイヤンという名前が削除されることとなりました。またフィリピン大気地球物理天文局によって名付けられたヨランダという名前もリストから削除され、二度と命名されることのない名前となりました。

ヨランダによる被害総額が20億ドル以上となったフィリピン、そして最大の被災地レイテ島。その復興を支えたのはフィリピン国内の人々はもちろん、日本を含む多くの国や企業、著名人たちの支援です。また、2015年1月17日にローマ教皇フランシスコが、ヨランダの被災者を励ますためレイテ島のタクロバンとパロを訪問し、ミサを行いました。敬虔なカトリック教徒が多いフィリピンでは、ローマ教皇の訪問は大きな意味を持ち、家族や家を失った被災者たちを元気づけました。

現在、レイテ島のタクロバンやサマール島などヨランダの被害が甚大だった地域もほとんど復興が完了しており、他の地域同様、ゆったりとした時が流れ平和に見えます。しかし、一部のニュースでは現在も700世帯以上が家の再建ができておらず、仮設住居に住み続けざるを得ない人もいると報じられています。さらに理不尽なことに、その仮設住宅は、ヨランダの経験から危険地域と認定され、建築禁止区域=“No-Build Zones”と指定された地区にあります。日本でも2011年、東日本大震災が発生し、8年経った今でも数千人の人びとがプレハブ型の住居で避難生活をしています。災害が起こったのはたった1日あるいは数日だとしても、その復興には十数年を要し、元の形には完璧に戻ることができないのが自然災害の恐ろしさです。

参考
– RAPPLER(https://www.rappler.com/nation/244499-6-years-after-yolanda-hundreds-families-yet-rebuild-houses
– ABS-CBN News(https://news.abs-cbn.com/news/11/05/18/why-super-typhoon-yolanda-was-so-deadly

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(Emi)