フィリピンのセブには製造業やBPO、観光業などで多くの外資系企業が進出しており、特に英会話学校やITアウトソーシングは、日本人経営の企業も多く存在しています。今回は日本人が経営するオフィスで働く、現地のフィリピン人スタッフはどういった人達なのかをご紹介します。
まず、採用条件として大学卒業を提示している企業がほとんどのため、勤務スタッフは大卒者です。フィリピンの大学進学率は35%程度のため、この時点で応募できる人物も限られます。そして主に20代前半~30歳程度の若い年代の人々が働いています。これには、フィリピンの人口構成と教育が関係しています。日本の人口ピラミッドは中間部分(40歳~74歳)が突出しているのに対し、フィリピンの人口ピラミッドはきれいなピラミッド型をしており、総人口に対する若年層の比率が高いのです。また、フィリピンの義務教育は2011年まで6—4制(日本でいう小学校6年、中学校4年)だったため、義務教育修了後に4年制の大学へ進学しても19歳や20歳で卒業していました。その後教育制度が変更され、2011年からは義務教育期間が13年となりましたが、2016年に初めて日本の高校1年生にあたるグレード9の生徒が誕生しているため、新義務教育期間を終了した大学卒業生が発生するのは2021年になります。
また、社内でのやりとりは英語を使用するため、勤務スタッフは英語に堪能である必要があります。もともとフィリピンは国民の英語力が高いことで知られており、2018年の国別に英語力を測るEF英語能力指数でも、日本が49位なのに対し、フィリピンは14位と高く評価されています。しかし、実際にフィリピン人スタッフと働いてみるとその優れた英語力の柔軟さに驚かされます。高い読解力や流暢な会話はもちろん、日本人や韓国人などが話す独特のクセがある英語も比較的スムーズに理解してくれます。英語が母国語のイギリス人やアメリカ人などに対して、タガログ語やビサヤ語を母国語に持ち、あくまでも公用語の1つとして英語を使用しているフィリピン人にとっては、多様な英語に触れる機会が多いためと考えられます。
フィリピンでは幼児期からアメリカで放送されている英語のアニメ番組を視聴したり、英語の絵本、音楽などに触れることでネイティブ英語に強くなります。またフィリピン人が話す第二言語としての英語も日常的に見聞きしているため、ネイティブスピーカー以外の英語にも耳慣れしています。先日、アメリカのトランプ大統領が、記者会見で英語を使って質問をした日本人記者に対し「何を言っているのか理解できない」と率直な返答をしたことが物議を醸しました。リアルな英語を耳にしたり、口に出す機会が少ない日本人にとっては、ネイティブスピーカーが話すスラング混じりのハイスピードな英語を理解したり、正確な発音で話すことは決して容易ではありません。その点、難易度の高い語彙も理解しながらも自身が話すときにはシンプルな単語と文法で話し、外国語としての英語に慣れているフィリピン人との会話は日本人にとってコミュニケーションがとりやすいメリットがあります。
最後に、現地のスタッフ達は仕事とプライベートのオンオフが得意です。特にWeb制作やデジタルBPOといったITアウトソーシングのデスクワーク勤務では、勤務中は黙々と作業に打ち込みます。そしてお昼休憩や勤務終了後には同僚達とご飯を食べに外に出たり、家族のために家路に急いだりとオフモードに切り替わります。また、過去のブログにも投稿されているように、フィリピンの企業ではチーム力を高めることや、従業員のモチベーション向上、日々のねぎらいを目的とした社内パーティーやイベントを開催することが一般的です。こうした社内行事の参加率もほぼ100%で、同僚や上司達と全力で楽しむのもフィリピン人スタッフにとっては当たり前。仕事をプライベートに持ち込まないスタイルは近年日本でも流行りつつありますね。
以上、実際の職場には1人1人個性溢れる魅力的な人々が働いていますが、今回は日系企業を支えてくれている現地ローカルスタッフの主な特徴を紹介してみました。
(Emi)