日本で1月といえば、新年、成人式、大学のセンター試験等の行事がありますね。セブの1月といえばフィリピン最大の祭り、シヌログの時期です。シヌログとはカトリック教のお祭りで、約3週間に渡り祭礼儀式が開催され、毎年第3日曜日にセブの大通りにて大規模なグランドパレードが行われます。シヌログが近くなるにつれ、市内のショッピングモールやレストランでは常にお祭りのテーマソングが流れ、覚えようとしたわけでもないのに思わず口ずさんでしまうほど独特のリズムが耳に残ります。

さて、世界各国から約400万人もの人々が訪れるこのビッグイベントですが、実は現地に住む日本人としては思わぬ影響に悩まされる行事でもあります。

まずは騒音。これは日本と比較にならないほどストレスです。夜明け前から深夜まで楽器隊のパレードやお祝いの花火の音が響きます。メインとなるパレードは、限られた地区の大通りを周遊するのですが、大通りから離れた地域でも小規模なパレード行進があったり、野外ディスコができて大音量で音楽が流れたりとシヌログ仕様です。私の自宅も普段は騒音が気にならない閑静な住宅街ですが、この時期ばかりは朝も夜もお祭り騒ぎで大変です。朝5時には行進のラッパや太鼓の音で起こされ、夜21時頃まではパーティー音と花火、そして深夜の3時頃までディスコクラブのサウンドのような重低音が効いた音楽。日本だったら大クレームですが、フィリピンでは楽しんだ者勝ち、誰も文句はいいません。

そして騒音以外の大きな打撃・・・それは、携帯電話が強制的に圏外となることです。
フィリピンでは日本と同様、複数の通信キャリアが存在しています。その全てのキャリアが、グランドパレードが行われる日曜日と、その前日の土曜日に通信規制をかけるため、ほぼ終日圏外となり、通話もできない、メールもできない、もちろんモバイルデータ通信も不可のためネット通信もできない状況となります。ネットが繋がらないとなればLINEやFacebookなどのSNSでの連絡もできません。パレード周辺地区のみであれば、アクセスが集中してつながりにくい状態になることも想像できるので致し方ないとも思えますが、なんと規制地区はセブ市内全体に加え、隣接するマンダウエ市、リゾート地区のラプラプ市の3箇所も規制対象になるのです。これを日本で例えるとするならば、ハロウィンの日に渋谷のセンター街周辺はもちろん、渋谷区全域、さらに都内23区全てに通信規制がかかり携帯電話が使用不可となるようなものです。なかなかの困りものですね。

セブではご存じの通り、ITアウトソーシングやコールセンターといったBPO企業や、製造工場など、多くの日系企業が進出しています。通信不可による影響はないのかと思われるかもしれませんが、実は規制対象は携帯電話のみであり、企業が使用しているような固定回線は影響を受けないので、業務に支障はありません。また、ポケットWi-Fiのような携帯型のデータ通信機器も使用可能なため、海外旅行時にポケットWi-Fiを持つ傾向が高い日本人には助かりどころです。

この携帯電話の通信規制は、携帯電話の電波で起爆可能な爆弾の爆発を防止するために2017年度から始まり、今年で3回目となります。どの国、どの地域でもテロの危険性はゼロではないため、このようなテロ防止策が重要なことはいうまでもありません。事前に規制実施の情報が得られれば、人との待ち合わせでも場所を明確に決めておいたり、プリペイド式ポケットWi-Fiを準備したりと対策が可能です。また、ほとんどのモールやカフェで無料Wi-Fiスポットを提供しているので、それらを利用することもできます。ただし、仕事でセブを訪れる方は、できる限りこの2日間を避けた日程が好ましいですね。

(Emi)