以前の記事でセブ島留学についてお伝えしましたが、セブは今や年間約3万人を超える日本人留学生が訪れる人気の留学都市となりました。ネイティブ信仰の強い日本人が持つ、セブ島留学に対するネガティブなマインドを払拭し、年々右肩上がりの成長を遂げているのは、リゾート地としても名高い美しい風土に加え、安価で質の高いサービス提供を可能にする英語教育に適したセブの土壌があってのことだと思います。

そして、近ごろではセブ留学をする若者たちの間で「セブ島起業」という、新たなムーブメントが起きているようです。私がセブに語学留学をした約6年前は、日本国内での就活を有利に進めるために語学留学をするという認識が大多数でしたが、現在では独立志向の強い社会人が、現地での起業を前提に留学するパターンも随分と増えてきているようです。

こちらのセブITアウトソーシングセンター周辺でも、日系の新興サービスが続々と進出しており、その足音が確実に近づいてきていることを、身をもって感じています。

若者たちの間で「セブ島起業」がブーム

セブ島で起業を目指す人は、英語学校を卒業後、日本には帰国せず現地に居残ることが多いようです。ビザが無くても滞在できるの?と思われる方もいると思いますが、フィリピンは観光ビザのステータスでも、移民局にて観光ビザの期限延長を申請することで、1年程度は滞在が可能な国です(ただし、期間が長いと要件が厳しくなる場合がある)。他の国では観光という名目で、これほど長期滞在することはまず許されないかと思いますが、これによって現地のマーケットを詳しく視察することや、事業の計画をじっくりと練ることができるのもセブ起業を手助けする一因となっているでしょう。

また、セブ島を含め、東南アジア諸国は発展途上につき、日本で起業するよりも初期コストを安く抑えられるという利点があり、また、先進的な技術やアイデアでなくても現地で成果を収めるケースもあります。実際、日本で少し前に流行したモノやサービスが今セブで話題になっていたりしますし、競合も日本で起業するよりは少なく、参入障壁が低いのことは起業家にとって魅力的に映るでしょう。

IT関連の事業においてはインターネットの回線速度が遅いなど、インフラ面での懸念がありましたが、現在セブでは順次光ファイバー網の整備を進めており、家庭用のインターネットでもストレスの無い回線速度で仕事ができる水準までサービスが拡充されてきています。

日本人がセブで事業を始める場合、大きく分けて2つの方法があります。一つは、個人事業主、もう一つは法人設立となりますが、両者は受け入れの管轄が異なります。

比較的小規模な飲食店や小売店などの業務形態は個人事業主で登録することが多いですが、個人事業主登録は、日本人が代表になることはできません。必ずフィリピン人の名義を借りることになりますので注意が必要です(100%信頼できるフィリピン人をパートナーにすることが必須)。

現地法人(株式会社)設立の方は、SEC(証券取引委員会)に法人登記を申請することになります。こちらは、生産高の60%以上を輸出する企業に限り、外資100%で法人を設立することが可能となっていますが、担当弁護士や、SEC職員の判断次第では要件が厳しくなるかもしれません。

その他の方法では、支社の設立(日本に親会社)や、駐在員事務所設立(現地での活動内容の幅は狭い)がありますが、この辺の詳しい事情につきましては、JETRO(日本貿易振興機構)のホームページに詳しく掲載されています。

アジアで独立起業を考えている方は視察もかねてセブへ!

世界でも稀にみる美しい人口ピラミッドを描き、若い力が経済成長を押し上げるフィリピン。今後もさらなる発展が見込める確かな将来性を鑑みれば、多くの日本人起業家がセブ島に熱視線を送るのも頷けます。新たな可能性を求め、アジアで独立起業を考えている方は視察もかねて一度セブに来てみるのもいいかもしれませんね。

(Yamachan)